ダンス&パンセ

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2025年6月15日日曜日

宇野常寛著『母性のディストピア』(集英社 2017)を読む

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  前回ブログの山下悦子の『高群逸枝論』は、母性的なものが「下からのファシズム」として機能した、という視点であるが、宇野常寛の『母性のディストピア』も、そうした認識にたっているものである。ただ、高群が古典的な文芸作品や日記などを文献としているとしても、家族構造をみようとしている点...
2025年6月10日火曜日

山下悦子著『高群逸枝論 「母」のアルケオロジー』(河出書房新社・1988)と宇野常寛著『母性のディストピア』(集英社・2017)を読む(1)

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  ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は、父殺しをめぐる三人兄弟の話だが、日本の文脈でなら、むしろ母殺しがテーマとして浮上してくるだろうと、『 中上健次 ノート 』というエセーを書き、自身も『 いちにち 』という小説にまとめてみたのだった。が、妻が遺し与えた課題を追及してい...
2025年5月30日金曜日

毛円だんす『dances 芭蕉』を観る

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  左「花車(風車)」右「まつり(雷小僧)」奥山振付衣装in1982(1983,1984) 両国のシアター X で行われている「 ルナ・パーティーvol.16 」にあたる、 5/18 の公演である。   このブログで感想を綴った江原朋子先生の『 Primitive 』がそ...
2025年5月24日土曜日

映画『V.MARIA』(宮崎大祐監督)を観る

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  「連帯婚を基礎とする古代社会では特定の人間を対象として妻問うことは社会通念に反するから、罪の意識をまぬかれない。したがってこの矛盾を克服するためにはさまざまな贖罪の意識が必要となった。」(村上信彦著『高群逸枝と柳田国男 婚制の問題を中心に』 大和書房)   宮崎大祐監...
2025年4月11日金曜日

冥王まさ子著『南十字星の息子』(河出書房新社)を読む

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だいぶ以前、若いころに、冥王まさ子の作品をいくつか読んではいた。その時の感想は、インテリ女性であるはずの知性と、少女感性的な作品との間隔の大きさだった。作品タイトルやペンネームからして、どうなっているのか、彼女の中身がわからない。 今回、この遺作となった作品を読んでみたいと思...
2025年4月1日火曜日

大畑凛著『闘争としてのインターセクショナリティ 森崎和江と戦後思想史』(青土社)を読む

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  いく子は自身のダンスに三度、「事件、あるいは出来事」というタイトルをつけている。この言葉は、デリダか誰かの現代思想的なものに触れて、そこから借用してきたアイデアなのかな、と当初推察したりしてもいたが、意味しようとしていることが違うようにみえて、ではその意味したいものは何なのか...
2025年3月28日金曜日

小説出版

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  石牟礼道子の代表作『苦海浄土――わが水俣病』は、当初『海と空のあいだに』というタイトルだったそうである。講談社の担当が、自費出版ならいいが商業出版ではそれではだめだ、ということで、机上にあった仏典か何かを開いて「苦海」という言葉が目に入ったので引き出し、同席していた石牟礼の夫...
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木上の思考

菅原正樹
本名(鈴木正樹) 1967年生まれ。群馬県出身。高崎高校、早稲田大学第二文学部卒業。植木職人。(1級造園施工管理技師) 自著;『曖昧な時節の最中で』(近代文藝社)・『書かれるべきでない小説のためのエピローグ』(新風舎)、BCCKSより、知人書房として電子出版試作中。 *カニングハムは、「振り付けするとはダンサーがぶつからないようにすることだ」と言っている。盆栽に象徴される日本の植木の仕立ての技術とは、枝が交差し絡み、ぶつからないよう偶然を準備していくことにある。自然に気づかれないで、いかに生起してくるaccidentを馴化していくかの工夫なのだ。たとえ西洋のトピアリーのような造形をめざさないことに文化的な価値の規定を受けていようと、そこには特殊にとどまらない普遍的な対応がある。芥川が「筋のない話」として日本の私小説の困難な特異さと歴史的前衛性を洞察したことが、日本の植木職人の技術のなかにも潜在するのである。
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