ダンス&パンセ

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2025年9月15日月曜日

返歌

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  福岡に住む、90歳前後であろう妻のおじさん、父の弟さんが、ときおり散文や短歌を送ってくる。判読しにくい手書きであり、意味を読み取るのも難しいのだが、最近いただいたものは、わかりやすい。そのなかからの、抜粋。   それと、その返事として出した私の歌。   戦後を...
2025年9月4日木曜日

スラヴォイ・ジジェク著『性と頓挫する絶対』(青土社)を読む(2)

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  「恋しゅうございますわ。私のスフィンクス。して胸と肩との恋人。花なすお方。この上忍べとならば小鳥でも鳴いて仆れるでございましょうに。まして前の窓も壁もぼんやりしていること!」<「郁子より」『高群逸枝全集 第9巻』 理論社>   ファインマンが量子力学を理解できるものは...
2025年8月17日日曜日

スラヴォイ・ジジェク著『性と頓挫する絶対』(青土社 中山徹+鈴木英明訳)を読む(1)

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   まず引用する。 ※     翻訳中のルビ、および強調傍点のような字体の横につくものは、このブログの機能上により、省略してある。 =====   定理Ⅰ 存在論の視差    「自由意志」への欲望……自己の行為に対する全的な且つ究極の責任をみずからに負い...
2025年8月13日水曜日

映画『骨なし灯篭』を観る

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  天草の本渡も、その翌朝から、線状降水帯と呼ばれる大雨に見舞われた。山鹿で暮らす監督ご夫婦は、無事ご住まいに帰ることができたのだろうか。本土へと渡す五つの天草の橋のうち、二つが交通不通になったので、海路からしか抜けられない、と、漁船を改装したのだろう海上タクシーで乗り合わせた若...
2025年7月26日土曜日

スラヴォイ・ジジェク著『「進歩」を疑う』(早川健治訳 NHK出版新書)

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「つまり、労働でも言語でもなく性こそが、われわれ(人間)が自然から切断されるポイントなのである。性とは、われわれが存在論的な不完全性に直面し、無限の自己再生産になるというループ――欲望のねらい( aim )が欲望の目標( goal )ではなく、その目標の欠如の再生産になるというル...
2025年7月15日火曜日

平野啓一郎著『本心』(文藝春秋)を読む

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  前回ブログで言及した「死者とテクノロジー」での鼎談で知って、平野啓一郎の『本心』を読んでみたいと思った。はじめて読む作家の作品である。   この作品は、母と僕(息子・朔也)との関係をテーマに据えたものだけれども、妻と私(夫)との関係にも重ねられてくる(そう予想したから...
2025年6月25日水曜日

『死者とテクノロジー』中島岳志編(RITA MAGAZINE 2 ミシマ社)を読む

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  「 中島  柳田國男が、『先祖の話』という本の中でいいことを言っていて。バス停である老人と立ち話になったときに、その老人が、自分はもうだいたい生きてやることはやったので、「あとは先祖になるだけです」と言ったというんですね。 / それに柳田は感銘を受けて、「この人には亡くなった...
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木上の思考

菅原正樹
本名(鈴木正樹) 1967年生まれ。群馬県出身。高崎高校、早稲田大学第二文学部卒業。植木職人。(1級造園施工管理技師) 自著;『曖昧な時節の最中で』(近代文藝社)・『書かれるべきでない小説のためのエピローグ』(新風舎)、BCCKSより、知人書房として電子出版試作中。 *カニングハムは、「振り付けするとはダンサーがぶつからないようにすることだ」と言っている。盆栽に象徴される日本の植木の仕立ての技術とは、枝が交差し絡み、ぶつからないよう偶然を準備していくことにある。自然に気づかれないで、いかに生起してくるaccidentを馴化していくかの工夫なのだ。たとえ西洋のトピアリーのような造形をめざさないことに文化的な価値の規定を受けていようと、そこには特殊にとどまらない普遍的な対応がある。芥川が「筋のない話」として日本の私小説の困難な特異さと歴史的前衛性を洞察したことが、日本の植木職人の技術のなかにも潜在するのである。
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