ダンス&パンセ

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2023年8月23日水曜日

王寺賢太著『消え去る立法者』(名古屋大学出版会)を読む

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この著作を手に取ったのは、作者の王寺氏とは、面識があったからである。が「フランス啓蒙における政治と歴史」と副題されたこの大著を、私がいったい読めるのだろうかと、不安だった。素材となっているモンテスキューやルソー、ディドロといった哲学者の主要な作品を読んではいるけれど、「啓蒙」当時...
2023年8月5日土曜日

電子出版発行『中上健次ノート』

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  BCCKS / ブックス - 『中上健次ノート』菅原 正樹著 「路地の美恵の家にもどる前に、盆踊りを見に寄ろうと三人で、路地が小高い山に沿ってのびて切れたところにある空地に向かった。その空地は駅からの通りに面していた。ヘルメットをかぶった警察官がいた。骸骨のワッペンを一様に貼...
2023年7月15日土曜日

中上健次ノート(6)

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 6  羽衣の思想      大澤真幸は、大国間の戦争状況となった世界情勢をめぐり、次のように指摘している。   <戦争は一般に、いかにも崇高そうな理念や大義をかかげて遂行される。が、そうした理念や大義は、たいてい、もっとも現実主義的な目的を覆い隠す「口実」や「ア...
2023年6月17日土曜日

映画『渇水』と『怪物』を観る

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  映画『渇水』の脚本を担当した及川章太郎とは、早稲田大二文の同級生だ。私の学生時代は、人とまもとに話ができるような精神状態ではなかったが、それでも、よく話した友人ともいえる者が二人いて、及川はそのうちの一人だった。卒業後は、その誰とも付き合いはない。 がもう 10 年くらい...
2023年5月27日土曜日

中上健次ノート(5)

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 5 補説――通俗小説と真理      男女の性愛的な有り様が、「五分と五分」以上にあからさまに露出してきた現在においては、真理とは何か、という問いが、女とは何か、という問いと重ね合わされて追求される現実性は希薄であるだろう。かつては、夏目漱石の作品などが典型であった...
2023年5月20日土曜日

中上健次ノート(4)

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 4 父殺し、母殺しを超えて      『軽蔑』の女性主人公の名は「真知子」である。つまり、真理を知っている女、と設定されている。この女性の捉え方は、西洋文明の哲学、形而上学的な在り方からすれば、イロニーということになるだろう。ニーチェが洞察したように、男たちが女(真...
2023年5月13日土曜日

中上健次ノート(3)

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 3 詐欺の群れ    中上がしかし、まず遺作となってゆく作品群で模索したのは、北方へと続くユーラシアへの経路ではなく、より周辺からの南方への経路である。『地の果て―』以降、すでに起点が東京へと移っていたそこから、また西域(路地へと)、そして南方へと降下する。   ...
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木上の思考

菅原正樹
本名(鈴木正樹) 1967年生まれ。群馬県出身。高崎高校、早稲田大学第二文学部卒業。植木職人。(1級造園施工管理技師) 自著;『曖昧な時節の最中で』(近代文藝社)・『書かれるべきでない小説のためのエピローグ』(新風舎)、BCCKSより、知人書房として電子出版試作中。 *カニングハムは、「振り付けするとはダンサーがぶつからないようにすることだ」と言っている。盆栽に象徴される日本の植木の仕立ての技術とは、枝が交差し絡み、ぶつからないよう偶然を準備していくことにある。自然に気づかれないで、いかに生起してくるaccidentを馴化していくかの工夫なのだ。たとえ西洋のトピアリーのような造形をめざさないことに文化的な価値の規定を受けていようと、そこには特殊にとどまらない普遍的な対応がある。芥川が「筋のない話」として日本の私小説の困難な特異さと歴史的前衛性を洞察したことが、日本の植木職人の技術のなかにも潜在するのである。
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