いく子の一周忌を前に、葬儀に参列してくれた、江原朋子先生の公演を、両国駅近くのシアターXへ見にいった。1946年生まれだそうだが、葬儀式場へは、バンビのように歩いておられた。この公演でも、舞台上を走ったりしたのだから、驚きである。
タイトルは『Primitive』。原始古代から現代までの通史を集約していくような構成。この壮大な意図は、普通では、空想ファンタジーじみてくるはずだが、だんだんと、そうはならず、とくには東京大空襲を連想させられるところから、それどころかの、壮大な批判的意図のもとに企まれた作品なのではないかと思われてきた。最後、ボレロの音楽で舞う。それはまるで、世界史のなかにダンス史が、動物のなかにライオンが現れてきたような、衝撃的な接続だった。
※ベジャールの振りは、盆踊りにデフォルメされていたが、それはユーモアやイロニーをこえた、痛烈な批判に思われた。
公演後、出演者との質疑応答トークがあったので、質問してみた。
「原始古代から赤い靴の女性を連れれてゆく異人さんの文明に行き着く世界史を、下町の視点から、ユーモアとイロニーで批判していくような意図を感じました。とくに、最後、ボレロがでてくる。ここには、やはり何か意図的なものがあったのですか?」
「あります。」
「それは、なんですか?」
「反抗」
私は、まさかこんな直接的な回答がでてくるとは思わなかったので、おどおどした。
「わかります。ありがとうございました。」
公演のチケットも、じきじきの招待券に変更してもらったり、質問前にも、一周忌で忙しいでしょうのに、と声をかけてくださった江原先生の作品は、いく子が参加していた当初から、少女的なファンタジーの背後に、鋭い批判精神、とくにジェンダー的視点からの、が潜まされているのを感じていたが、卒寿を迎えても、その「反抗」が生きている、その気概が衰えていない現役のダンサーであることに驚かされた。
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