2024年2月11日日曜日

山田いく子リバイバル(11)ー2

 


「ガーベラは・と言った」の2000年黄色バージョンが、カメラ屋から、仕上がってきた。

 

2000.3.24山田いく子「ガーベラは・と言った」 (youtube.com)

 

いく子は、この私小説的な試みになってしまったソロダンスが、評価されたということに、とまどう手紙を書いていたわけだ。たしかに、ここには、まず自己分裂がある。心の奥に潜めた黄色く輝く世界、そして、表向きの、戦い、倒れ、嘆く自分、といった世界。心に仕舞いこまれて積み重なった、ひとつひとつの記憶の断片のようなものは、表の世界へと少しずつ運ばれ、整理されるかのようであるが、うまくはいかない。いく子は、ノスタルジーをかきたてる日本語の歌を背景に、うまく整理はできない断想の中を、力つきていくように、たちあがろうとしては、たおれ、ころげまわる。最後は、疲れたように、缶ビールを飲み干す。夢からさめるように、日常の世界につきもどされたように、ひとりの中年の女にかえったように、この非整理なままの世界で生きていくことしかないと覚悟をしたように。いく子はこの後、とにかく、外へ向けて、飛び出していく、そういう舞台を作っていく。

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