〈それにひきかえ、今の世の人間は死からも隔離された了見で生きているようで、昔の人の生きた心を思うのもしょせん身にそぐわず、埒もないことになるばかりだ、とやがて振り払い、これでも明日になれば、すこやかならぬ眠りの後でも、身心が多少は改まって、変わりもせぬ一日を、寿命も知らぬげに、先にまだ宛てでもありげに、時計のうながしに従って、殊更らしくまた繰り返すことになるのか、と長い息を吐いて立ちあがり、近頃は足も手ものろくて、めっきり閑のかかるようになった寝仕度の、一日の仕舞いの面倒に取りかかる。〉(古井由吉「雨の果てから」『この道』講談社)
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