2022年3月26日土曜日

また「気概」かい?

 


「ロシアの政治は、革命以降ずっと男性ホルモンに動かされてきた。ロシアの歴代大統領を順に挙げてみよう。レーニン(ハゲ)、スターリン(ふさふさ)、フルシチョフ(ハゲ)、ブレジネフ(ふさふさ)、アンドロポフ(ハゲ)、チェルネンコ(ふさふさ)、ゴルバチョフ(ハゲ)、エリツィン(ふさふさ)、そして現在の大統領プーチンもこの法則のとおり、かなり生え際が後退している。ハゲた人間は革新的で、毛のある人間は保守的だという説もある。」「大まかに見れば、大人になっていく方向性(髪の毛も含めて)はシンプルだ。初期設定では女になるようにプログラムされていて、それ以外のものになるには努力が要る。」「性ホルモンは、しかるべき時と場所を選んで遺伝子のスイッチを入れる。そして、男女のどちらか一方だけに有益な機能が他方の性で発現しないように、コントロールする。だから男性の特徴に関わる遺伝子が、Y以外の染色体にも存在できるのだ。そうした遺伝子はゲノム全体に散りばめられているが、ホルモンのおかげて女性の体では活動しないようになっている。」「女性は男性になりきれなかった存在であるというフロイトの古典的な考え方は、完全に間違っていた。生物学はそれとは正反対の事実を明らかにした。男性は、放っておくと女性になってしまうので、そうならないように必死で努力しているのだ。卵と精子が結びつくと、胎児は、男らしさの化学反応によって困難で不安定な道を歩みはじめる。それにともなう危険の一つが、ハゲだ。もちろんハゲは大した危険ではないが、男という不自然な道を進む者たちは、他にも多くの危険を冒しているにちがいない。」(『Yの真実 危うい男たちの進化論』 スティーヴ・ジョーンズ著 化学同人)

 

ゼレンスキー大統領の国会での演説直後のインタビューで、外務大臣は国を守る「気概」に満ちていたと発言した。その林さんは、演説中、マスクの下で、大きなあくびをしていたようなのだが(その緊張感のなさに、私はびっくりした)。

 

侵攻前の、ロシア側からの協議打診を拒否することで侵攻が開始され、すぐに大統領は中立化への協議の受け入れか、戦闘機の提供を欧米主要国に訴えた。アメリカの戦闘機は慣れてないから、ポーランドにあるミグとの交換でウクライナにおくってくれ、と。それに、三次大戦に発展する可能性があるからとアメリカは断り、同時に、「まだ諦めるときではない」、と報道官は釘をさすように言った。私がゼレンスキー大統領の立場だったなら、その時点で、欧米を見限り、水面下でロシアとの妥協を協議するだろう。欧米の言い分の実際は、ウクライナ市民を犠牲にしていく、ということである。ならば、なんのために、戦争をつづけるのだろうか? まず説得しなくてはならないのは、欧米主要国ということになる。だから、その国会の場で演説し、断られるとわかっている大型武器の提供を、公然と主張したのだろうと。私たちはこれだけのことをやった、それが受け入れられなかったのだから、ロシア側に妥協してもしょうがないよね、という口実作りだ。日本では、戦後の「復興」の話がでた。いつ戦争が終わるかもわからなくなってきているのに、なんで唐突に、と私はびっくりした。もしかしてこれは、遺言なのか、という気もした。すでにロシア側とは妥結の意思を伝えてあるが、自分自身は、自分を支援してくれた好戦的な仲間とともに、その妥結まで戦う(それまでは自分たちを殺していい)が、住民の犠牲は最小限にして、戦争終結後は、その市民の安全と復興を約束しろ、との取引である。少なくとも、日本のメディアでは、ウクライナ側の反撃の優位が宣伝されていても、大統領の表情は、悲痛な覚悟があるように、私には見えた。

 

女房にこんな推定を言うと、「あなたはすぐにそうあくどい裏を言う。人間の見方がおかしいのよ!」とすごい剣幕で言い返される。「はっ? 身近なところからそんなことぐらい想像できるだろう。息子がいた少年サッカークラブだって、ヘッドコーチらは監督には内緒で地域の強豪チームと合併した新しいチームを作ることを合作し、監督をやめさせて扱いやすい事務的な新監督を担ごうとしていたじゃないか。もし俺がそれを察して前もって理事会をやめていなかったら、理事会の席上で「やめるな」の糾弾にあって、今でも審判に担ぎ出されているかもしれないね。監督はまえも、過労とストレスで胃を切るまでになって、遅かったら死ぬところだった、と言っていたろう?」「それとこれとはちがうでしょ!」「同じだよ。もっと政治世界のほうが気味悪く、程度がちがうだけだよ。俺の今の職場の位置は、ウクライナみたいなものじゃないか。親方がプーチンで、三代目が欧米側だ。二人は対立しているが、そうすることで、俺はどちらからも都合のいいように扱われているだけだ。三代目の仕事がいやならやらなくていいよ、と親方は言いながら、私が断れないことを見越している。断れば、仕事も減る。三代目も、大変な仕事の時だけ私を呼ぶ。夏300本、冬300本と、俺ひとりで街路樹にのぼって切ってるんだぜ。できる人がいねえというか、従業員がいないんだから。それまでやってくれていた小さな業者は、傲慢なやり口にかかわりたくないから、みな都合のいいことを言って逃げてるから、結局俺と団塊世代の職人さんが借り出されることになっていった。そのままではつぶされ、実際に、俺も職人さんも、木から落ちて死にそこなったじゃないか。タイミングを逃したら、やめることもできない。無理してやめれば、喧嘩別れか、若造みたいにばっくれるしかないだろう。法的にはひと月前に言えばいいたって、家族経営の会社なんだから、働き手がいなくなれば、ほんとうに家族の死活問題になるんだよ。推定し、駆け引きをしながらでなければ円満にはならないんだよ。今回俺がタイミングよくやめる決断をしたことで、親方の顔がたち(「だから言ったとおりだろう、そんな方針では会社はもたない」という息子への教育認識が実証された)」、そのことで引退をせまられ、三代目は実質的にも自立せざるを得ず、私は独立を試行していく。どれもが困難でも、早く手を打たなければ、自滅していくだけだ。」

 

しかし以上のような例え話をしても、まったく通じる気配がない。ぶち殺したくなってしまうが、いつまで自分が我慢できるのか、心配になってくる。

 

スマホをみていると、こんな東浩紀の人生相談が目に入った。

 

「けれども、そんなことで家族の仲が悪くなるのはバカげたことです。家族とはそもそも思想や価値観の一致を前提につくられた集団ではありません。それは偶然によってつくられたものです。だからこそ尊い。思想の不一致など関係なく、お姉さまとの偶然の関係を大切にしていただければと思います。」

 

そうだそうだと思いながら、いや女房とは同じ社会運動での知り合いなんだから、むしろ「同志」のはずなんだがな、ほんとに『批評空間』読んでたのか? こうやって戦前の文学者たちが戦争礼賛になだれこんでいったのが検討されていたじゃないか。…しかし、我慢、我慢、と自分に言い聞かせながら、だけど東の理論からだと、「プーチンはたまたま侵攻した」となるのだけど、本当に、そんな言い方でいいのか? と考えさせられるのだった。

 

プーチンを暗殺しても、すぐ次なる「気概」ある男が出てくるかもしれない。全体主義的な官僚制がロシアの風土だ。順番からは、髪の毛が「ふさふさ」の男なのだろう。プーチンには銃ではなく、ホルモン注射を撃ってあげるべきであろう。

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