2020年9月7日月曜日

量子論を詠む

人のなかに落ちてつぶれゆく幼きころの自尊心はおそらく星のなりわいと同じ

ここに在る鉄粒の動きも波なれば我と汝は大海の宇宙

観測とは私が見る見ないでなく諸星団(もろほしだん)が見せているもの

我あらわれて何処にゆくとも知れずともあまねく在るとは心やすまる

確率とは気まま気まぐれの天気ではなく嫌気がさしてる出不精な魂

嫌ならばなんで泣く泣く産まれでるたゆたう海原波動の収束

ああもありこうもあるかも世界でもなみなみならぬ他ならぬこの

潜在と可能性とが重なるとも並ぶ世界にこの私はいない

人もみな土にかえるならば魂が死なずは物質と同じ粉々になろうと

粒子とて束ねた波の記憶あり我くだかれて宙に消えても

収束はこの一度だけバラバラになった私は破爪場で待つ

生を知り死を知らずんばと焦がれても生きると死ぬは同じ重なり

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